睡眠と身体との関係 しっかりと寝ていますか?
(2021年3月 8日 15:41)
こんにちは!
北星病院外来リハビリ班です。

皆さんしっかりと寝ているでしょうか?
タイトルにもある様に今回は睡眠による身体への影響というテーマにやっていきます。

一般的には日本人は睡眠不足と言われています。
日本は世界でワースト1位の睡眠時間です。(OECD 2018)
そんな私たちなのでことさら睡眠について考える必要があるのではないでしょうか?

しっかりと寝ているか?を分割して考えていくと
①睡眠時間を確保して寝ているか
②睡眠の質はどうか?というところになります。

①睡眠時間
まず最初に睡眠時間に関してです。
睡眠時間に関しては個人差があること、年齢によっても
変わる事があります。(基本的に年齢が低いほど睡眠時間が長く高齢になるほど短くなる傾向にはあります。)
1つの推奨される時間としては7時間前後ということになります。
なぜ7時間なのかというと日本人を対象とした睡眠時間と
全死亡リスクをみて行った研究では最もあらゆるリスクが低い睡眠時間が7時間で
睡眠時間が4時間以下と短い人では,7時間の人にくらべ、男女とも非癌・非心血管疾患での死亡リスクが有意に高く
女性では冠動脈疾患死亡リスクも有意に高かった。一方、睡眠時間が10時間以上と長い人では
男女とも全脳卒中死亡,虚血性脳卒中死亡,全心血管疾患死亡,非癌・非心血管疾患死亡リスクが有意に高くなっていた。
と報告されています。(Ikehara S.2009)

また睡眠時間が短くなると食欲を抑えるホルモンの濃度が低くなり
反対に食欲が増進されるホルモンの濃度が高くなる事も報告されています。
(Taheri 2004)
よって睡眠時間が短くなるだけで太りやすくなり不健康に
なる状態ができあがってしまうということになります。

筋肉への影響に関してもあります。
睡眠不足の状態ではコルチゾール濃度が増加すると
報告もあります。(Shingo Kitamura)
コルチゾールというのは体の中にあるホルモンの一種で
働きの一つに筋肉を分解する作用があります。なのでせっかく運動しても
睡眠不足でコルチゾール濃度が増加することで筋肉をつけていく効率が
悪くなってしまいます。

以上のことからもある程度の睡眠時間は何とか
確保した方が良いと思います。

②睡眠の質
次に睡眠の質に関してです。
寝る前というのは交感神経(興奮)優位から副交感神経(リラックス)優位に切り替わる状態です。
その神経の切り替わりは寝る1時間前から始まると言われています。
よって1時間前には交感神経が活動する様なことは避ける方が良いです。
交感神経が興奮する様な条件として具体例を挙げると
・明るい部屋にいる
・お酒を飲む、カフェイン飲料の摂取(コーヒーなど)
・スマホをみる
・寝る前に激しい運動を行う
などがあります。一般に興奮する様なことは交感神経が
優位になってしまい中々寝付けなくなることは
皆さんも経験があるのではないでしょうか?

なので睡眠の質を上げるためには
興奮することの逆を行えば良いと言えます。
具体例としては
・暖色系、少し暗くした部屋にする
・寝る直前にはスマホは見ない
・寝る前にはお酒・カフェイン飲料は摂取しない
・激しい運動は行わない
ということになります。

寝る前までは暖色系、少し暗くした部屋にし寝る際は真っ暗にした方が
入眠条件がよくなる事が報告されています。

また、寝る際の気温としては様々な研究がありますが
寝始めは気温を少し低めに設定(20℃前後)し
起きる際は寝始めより気温を高く設定することで快適感が上がるそうです。

まとめ
要点を箇条書きにしますと以下の様になります。
・睡眠時間は無理に決めなくても良いが7時間がオススメ
・眠りやすくするために寝る1時間前は興奮することを避ける
・寝る前は少し部屋を暗くしておく
・お酒やコーヒー、激しい運動は寝る前は避ける
・気温の設定も大事

引用文献
①Ikehara S, et al.; JACC Study Group. Association of sleep duration with mortality from cardiovascular disease and other causes for Japanese men and women: the JACC study. Sleep. 2009; 32: 295-301.
②Taheri S et al.Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index. 2004
③Shingo Kitamura Estimating individual optimal sleep duration and potential sleep debt 2016