運動と食べ物の消化との関係
(2021年3月11日 18:51)
こんにちは!
北星病院外来リハビリ班です。

タイトルの通り本日は運動と食べ物の消化との関係ということでやっていきます。
一般的に、運動後すぐには消化が悪いから食事は時間を
あけましょうと言われています。
また、運動後○○分が筋肉が作られるゴールデンタイムだから
そこで栄養摂取した方が良いともあります。

本当に運動後食事をとるまでに時間をあけなければいけないのでしょうか?
時間をあけないですぐに食べてしまうとどんな事が起きるのでしょうか?
上記の点を論文等から解説していきます。

運動中は当然ですが筋肉の血流量が増加します。(Musch 1987)
反対に内臓への血流量が低下します。(脳や心臓等以外)

実際に運動後5分vs運動後30分でのたんぱく質と糖質を摂取して比較した研究では
胃の消化機能の目安と言われている胃排出(胃から小腸へ食物を移動させる働き;遅くなると胃の働きが悪くなっているという意味)
が運動後5分では遅くなっている状態で胃への血流も低下したままであると報告されています。
30分後には胃への血流も改善し胃排出も安静時と同じ働きの状態まで回復しています。(鍛島 2016)

なので運動後は30分あけた状態の方が運動時に減少時していた胃への血流や胃の働きも
回復しているので負担が少ないことが分かりますね。
また、運動後の胃腸障害(腹痛など)も起きにくい事が推察されるのではないでしょうか。

更に筋肉への影響として
運動直後には筋肉へのアミノ酸(たんぱく質の細かくなったもの)の吸収が増加し
運動終了後2時間程度で徐々に吸収が増加している状態が減少していくと報告されています。(Ivy, J. L. 2004)

実際にタンパク質を摂取してから、それが全身へ回るまでの時間は
少なくとも1時間では増加が見られていました。(中村 1998 タンパク質食摂取後のBCAA値)

上記の点から見ても運動後30分から摂取を初めても
運動後の筋肉合成の効率のよくなっている時間の摂取に間に合うのではと思います。
 
引用文献
①Musch, T. I., Friedman, D. B., Pitetti, K. H., Haidet, G. C., Stray-Gundersen, J., Mitchell, J. H., & Ord. way, G. A. Regional distribution of blood flow of dogs during graded dynamic exercise. J. Appl. Phy siol., (1987), 63, 2269-2277.
②鍛島 他 運動後栄養摂取のタイミングに関する研究・消化吸収活動の観点から 2016
③Ivy, J. L. Regulation of muscle glycogen repletion, muscle protein synthesis and repair following exercise. J. Sport. Sci. Med.3, 131-138 (2004).
④中村 PFC比の異なる食事摂取が空腹感に及ぼす影響 ―血漿アミノ酸・脂肪酸濃度との関係― 山梨医大紀要 第15巻,35-41(1998)